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丸山 修平; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(1), p.31 - 43, 2024/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)本研究では、データ同化技術を利用して、原子炉物理と放射線遮へいといった異なる分野間で実験データベースを共有することにより、高速炉炉心設計に関連する不確かさを低減することの可否を検討した。本研究テーマの最初のステップとして、ORNLのナトリウム遮へい実験に着目し、ナトリウム冷却高速炉の最も重要な安全パラメータの1つであるナトリウムボイド反応度の不確かさを低減するために実験データを利用することを検討した。一般化摂動論に基づく感度解析をナトリウム遮へい実験に対して実施し、ここで評価した感度係数と、これまでに原子力機構で評価したナトリウムボイド反応度の感度係数を用いて、炉定数調整を実施することにより、ナトリウム遮へい実験データがナトリウムボイド反応度の不確かさ低減に寄与できることを示した。本研究に基づくと、中性子漏洩現象が支配的なナトリウムボイド反応度において、特に不確かさ低減効果は大きくなると予測される。ナトリウムボイド反応度に関する新たな炉物理実験データの取得は今後困難かもしれないが、ナトリウム遮へい実験データがこの役割を部分的に代替できることを本研究は示唆している。高速炉設計における積分実験データの相互利用の価値が本研究によって証明された。
大井川 宏之; 飯島 進; 安藤 真樹
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(7), p.729 - 735, 2002/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)プルトニウム燃焼用高速炉のナトリウムボイド効果の予測精度を評価することを目的として、FCAにおいてウラン・フリー高速炉を模擬した体系を構築した。比較検討のため、プルトニウム及び炭素ボロンの反応度価値も、ナトリウムボイド反応度価値とともに測定した。プルトニウムサンプル反応度価値の軸方向分布と、4種のB濃縮度に対する炭化ボロンサンプル反応度価値は、いずれも精度良く計算できていることがわかった。ナトリウムボイド反応度価値に関しては、特に非漏洩成分の予測精度が悪いことがわかった。計算と実験の不一致は、ウラン・フリー高速炉における非漏洩成分のエネルギー依存性が特殊であることに起因している。
大井川 宏之; 飯島 進; 桜井 健; 岡嶋 成晃; 安藤 真樹; 根本 龍男; 加藤 雄一*; 大杉 俊隆
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(2), p.186 - 201, 2000/02
高速炉用断面積の信頼性評価を目的としたFCA臨界実験に基づくベンチマーク計算問題を提案した。対象とした炉心は、金属燃料高速炉模擬炉心のXVI-1及びXVI-2炉心、並びにMOX燃料高速炉模擬炉心のXVII-1炉心である。計算を行う炉物理パラメータは、臨界性、反応率比、プルトニウム及びBCのサンプル反応度価値、ナトリウムボイド反応度価値、Uのドップラー反応度価値である。簡単な2次元拡散計算を行うだけで実験と計算を比較できるように、均質原子数密度と各種の補正係数を与えた。補正係数の妥当性は計算方法及び使用する核データファイルを変更することにより検証した。
Hunter
JNC TN9400 99-049, 74 Pages, 1999/04
本報告書は、ロシア・オブニンスク物理エネルギー研究所(IPPE)の臨界実験施設BFS-2において実施されたBFS-58-1-I1実験の測定値に対する解析結果を記載したものである。同実験体系は、Pu燃焼炉としてUが存在しない炉心を構成したものである。測定量は、実効増倍係数、Naボイド反応度価値、物資サンプル反応度価値及び反応率比である。解析における基本核データライブラリは、JENDL-3.2を用いた。種々の物質構成を持つ実験体系各部の実効断面積はSLAROM及びCASUPにより求めた。この際、2次元的な物質配置を1次元非均質モデルで処理するために、3種類のオプションを用いて検討を行った。中性子束分布及び実効増倍係数は、2次元r-z体系で、拡散理論(CITATION)及び輸送理論(TWOTRAN2)を用いて求めた。反応度価値は、直接計算及び厳密摂動計算(拡散計算の場合PERKYを、輸送計算の場合SN-PERTを使用)によって求めた。実験体系仕様及び実験結果の詳細は、ロシアへの委託研究ISTC-220の報告書をベースに、不明点をIPPE技術者から追加入手した。解析結果については、ISTC報告会でIPPE及び仏CEAの結果を入手した。参考のため、本実験値に対するIPPE及び仏CEAによる解析値も記載した。実効増倍係数は、解析値が実験値に対して1.1%k/kk'大きかった。Naボイド反応度価値のC/E値は約1.06だった。これらは実験解析上の誤差を考慮すれば整合性に問題ない結果と考えられる。物質サンプル反応度価値のC/E値は概ね1.11.3の範囲であり、各種反応率比のC/E値は1.0からのずれが大きかった。これらについては、実験解析上の誤差からは合理的な説明ができず、IPPE提示の実験誤差や今回使用した解析モデルの改善等についてさらなる検討が必要である。本実験解析の実施により、Uが存在しない炉心体系における解析精度に関する情報が初めて得られたことに加え、今後推進されるロシアとの研究協力を通じて解析対象とすべきBFS-2臨界実験体系のモデル化に関する知見を蓄積できた。なお、今後の検討に資するため、BFS-58-1-I1実験体系に関するIPPEの提示情報、計算モデル構築上修正する必要性が生じた情報、及び解析用データセットをそれぞれ付録にまとめた。
大井川 宏之; 飯島 進; 安藤 真樹
Journal of Nuclear Science and Technology, 35(4), p.264 - 277, 1998/04
被引用回数:6 パーセンタイル:49.16(Nuclear Science & Technology)FCAにおいて金属燃料高速炉及びMOX燃料高速炉におけるナトリウムボイド反応度価値を測定し、計算精度を非漏洩項と漏洩項に分けて検討した。非漏洩項に関しては、JENDL-3.2は実験と良い一致を示し、金属燃料と酸化物燃料は中性子スペクトルが大幅に異なるのにも関らず計算精度の相違は見られなかった。しかし、ボイド領域がプルトニウムと濃縮ウランで構成されている場合は、JENDL-3.2は非漏洩項を約7%過大評価した。さらに、プルトニウムの同位体組成の効果も検討した。漏洩項に関しては、計算精度はセルに占めるボイドの割合で異なることが分かった。ブノアの理論に基づく方向別拡散係数の妥当性を燃料板の方向を換えることによって検証した。さらに、ナトリウムボイド反応度低減のためにナトリウムプレナムを備えた高速炉の設計概念についても計算精度を検証した。
核データベース*
PNC TN9410 93-010, 502 Pages, 1992/12
本報告書は,動燃事業団と米国エネルギー省(DOE)との共同研究として,アルゴンヌ国立研究所(ANL-W)の大型臨界実験装置ZPPRにおいて,1978年から1979年にわたって実施した大型高速炉臨界実験のフェーズI(JUPITER-I)の実験データをまとめたものである。JUPITER-I実験には,電気出力6080万kWe級の2領域均質炉心を模擬した以下の7つの炉心が含まれる。ここで収録した実験項目は,臨界性,制御棒反応度,反応率分布,Naボイド反応度,サンプル反応度,ドップラー反応度,ガンマ発熱,中性子スペクトルである。(1)ZPPR-9炉心:炉心体積約46001の2領域円筒型のクリーン炉心。(2)ZPPR-10A炉心:ZPPR-9炉心とほぼ同じサイズで19本のCRPを持つ6角形の工学的模擬炉心。(3)ZPPR-10B炉心:ZPPR-10A炉心のCRPのうち7本を制御棒とした。(4)ZPPR-10C炉心:ZPPR-10A炉心とほぼ相似形で炉心体積を62001とした。(5)ZPPR-10D炉心:ZPPR-10C炉心と同じサイズでCRPを31本とした。(6)ZPPR-10D/1炉心:ZPPR-10D炉心のCRPのうち中心1本を制御棒とした。(7)ZPPR-10D/2炉心:ZPPR-10D炉心のCRPのうち7本を制御棒とした。本実験データ集は,JUPITER実験の成果を,大型FBR炉心の炉物理研究および核設計のための基本データベースとして,将来にわたって有効に活用することを目的として整備したものである。したがって,実験内容を理解するために必要な情報とともに,実際に実験を解析するために必要な詳細データをくまなく網羅した。また,本実験データ集に含まれている実験体系の情報は,ほとんど大洗工学センターの大型計算機上に保管されており,今後の炉物理研究の進捗に応じて解析コードへの入力データとして利用できるようにした。
丸山 修平; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
no journal, ,
本研究では、ナトリウム遮蔽実験を用いたデータ同化法により、ナトリウムボイド反応度の核データ起因不確かさ低減を行った。分析の結果、中性子漏洩成分が支配的なナトリウムボイド反応度の不確かさに対して特に大きな低減効果が得られることを明らかにした。